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60歳すぎてからの生命保険料 実は保障不要のものばかり

 それまでよりも長く生きることが前提となったことから、保険期間満了までの間に被保険者が死亡した場合に一定額が支払われる「定期保険」のなかには10~20%の大幅な値下げとなっているものもある。一方、長生きすることで生きている間に支払う機会が増える「医療保険」や「がん保険」などは値上げとなる見込みだったが、実際には値上げには慎重で保険料を据え置く会社が目立っている。

 こうした環境変化こそ「保険見直しの好機」と家計コンサルタントの八ツ井慶子氏はいう。

「とりわけご自身のライフイベントの時期に重なった人は見直したほうがいい。たとえば子供が独立して教育費がかからなくなった、定年を控え退職金のメドが立ったといった節目で最低限必要な保障額を見直すことが大切です」

保険には“払ってはいけないお金”が生まれやすい

 そもそも万が一の時に頼れるのは保険だけではない。

「サラリーマンの夫が亡くなったら厚生年金から遺族年金が出ますし、住宅ローンを借りていたら団体信用生命保険で残りのローンはなくなる。子供が小さいうちは教育費をカバーするために保険も必要でしょうから、たとえば子供が社会人になる60歳すぎまでに必要最低限の保障を備えておけばいい」(荻原氏)

 リスクを過大に見積もって、“払ってはいけないお金”が生じている可能性が高いというのである。

 60歳までに退職金を含めてある程度の資産形成ができているようなら、保険を解約するという手もある。「掛け捨ての定期保険は10年更新のものが多く、更新のたびに保険料が上がります。たとえば保険金額1000万円の場合、60歳時点で70歳まで継続すると、10年間の保険料は安いものでも120万円前後となる。60を過ぎてまでそこまで手厚い死亡保障が必要な人は、かなり限られているはずですから、保険料がまるまるムダになりかねない」(ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏)

 一方、歳を重ねると病気のリスクが高まってくるため、医療保険の加入を考える人も少なくないが、公的な健康保険も実は手厚いということを知っておきたい。

「高額療養費制度によって、どんなに医療費がかかっても、70歳未満で一般的な所得(年収約370万~約770万円)の人なら実質的な自己負担は月に8万円程度で済みます。これならわざわざ医療保険で備えたり、医療特約などをつけたりしなくても大丈夫だという人が多いでしょう」(荻原氏)

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