投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が11月19日~11月23日のドル・円相場の見通しを解説する。
* * *
今週のドル・円はもみ合いか。イタリアの財政規律問題や英国の欧州連合(EU)離脱の行方など、リスク回避取引につながる要因(ユーロやポンドに対するドル買い)は除去されていないことから、ドルは下げ渋る状態が続きそうだ。ただ、米国株式は安定的に推移する可能性が高いとは言い切れないだけに、何らかの理由で株安に振れた場合はドル相場を押し下げる場面も想定される。
イタリア政府が欧州委員会に再提出した2019年予算をめぐり同国と欧州連合(EU)の対立は先鋭化する見通しで、ユーロ相場のすみやかな反転は期待できないとの声が聞かれている。引き続き安全通貨としてドルが選好されやすい展開となろう。英国では、EU離脱に関する草案が閣議了解されたものの、議会承認は困難な状況となっている。下院で過半数を割り込んでいる保守党は党内離脱派の反発にさらされ、政局流動化によりポンドも買いづらい。
一方、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先日行なわれた講演で、米国経済は「非常に強い」との認識で利上げ継続の方針を示している。ただ、経済の先行きについてやや慎重な見解を示しており、リスク選好的なドル買い・円売りが大きく広がるとの見方は増えていない。ブラックフライデーで個人消費の動向も注目されるが、ドルは引き続き113円台を中心に推移し、明確な売買材料が提供されない場合、主に113円近辺から114円台前半の範囲内でもみ合う状態が続くとみられる。
【米・10月住宅着工件数】(20日発表予定)
20日発表の10月住宅着工件数(年率換算)は123万件と、9月の120.1万件(修正後)を上回る見通し。住宅関連指標はまちまちだが、比較的高水準で安定的に推移しており、10月分が想定通りなら消費の好調さが確認されそうだ。
【米・10月耐久財受注】(21日発表予定)
21日発表の米10月耐久財受注は前月比-2.1%と、前月の+0.7%を大幅に下回るものの、輸送用機器を除く数字は改善する見通し。製造業の強さが裏付けられれば、7-9月期国内総生産(GDP)改定値の上改定値の上振れに期待が高まろう。