2016年1月29日の金融政策決定会合で、日銀は「マイナス金利」導入を決定。銀行が日銀に預けた資金に年0.1%の手数料を課すことで、銀行が積極的に融資に回すよう促すことが目的だ。このサプライズ発表で市場も大きく沸き、日本のみならず海外でも「黒田バズーカ第3弾」と報じられている。そもそも「黒田バズーカ」とは何なのか?
もともとは2013年4月4日に日銀の黒田東彦総裁が「インフレ率2%」目標に向けて打ち出した「異次元の金融緩和」が爆発的な円安・株高をもたらしたことから「黒田バズーカ」と名づけられている。マネタリーベース(資金供給量)を2年で2倍にするという大胆な量的緩和政策に市場は大きく反応。日経平均は1万2000円台から1か月余りで1万6000円近くまで駆け上がり、為替も1か月半で1ドル=93円から103円という円安になった。
それから1年半経ち、日経平均株価が1万6000円割れ、為替も1ドル=110円割れの水準まで円高が進むと、2014年10月31日には「黒田バズーカ第2弾」が放たれ、日経平均は3日間で1300円超、為替も1ドル=109円から121円までの上昇を見せ、再び大幅な株高・円安を演出した。
この間の「異次元の金融緩和」によって、日銀は年80兆円もの国債やETF(上場投資信託)などを買い進めており、その資金量と市場への効果から「黒田バズーカ」と呼ばれていたわけだ。
なお一部では、量的緩和政策のみを「黒田バズーカ」と呼び、今回のマイナス金利導入については、バズーカと一線を画すものと捉える向きもある。しかし、これまでゼロ金利政策を続けてきた中で、日銀に出来うる政策は量的緩和政策しか残されていない、と思われていたところに発表されたマイナス金利。銀行の収益が圧迫されるなどの副作用を懸念する声もあるが、市場へのインパクトの大きさという点ではやはり、「バズーカ級」といって過言ではないだろう。