バフェット氏は金融危機を想定していない
こうした局面で、長期投資家はどんな姿勢で市場にのぞんでいるのだろうか。
著名投資家、ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイは11月3日、2018年7-9月期の決算報告書を発表した。それによれば、9月末現在の株式ポートフォリオはアップルが断トツのトップで、バンクオブアメリカ、ウェールズ・ファーゴ、コカコーラ、クラフトハインツ、アメリカンエキスプレス、USバンクスコープ、ムーディーズ、ゴールドマンサックス、JPモルガンが上位となっている。
“アップル・ショック”で話題となったアップルについては買い増しを行っている。少なくともこの時点では、バフェット氏はアップルのファンダメンタルズを信じているということになる。
また、ハイテク関連では、オラクルを新たに買い入れている。クラウド事業の将来性を評価しているのだろう、得意のバリュー株ではなく、グロース株を買い入れている。
さらに、バンクオブアメリカ、ゴールドマンサックスの株式を大幅に買い増しており、JPモルガンを新たに買い入れている。金融株は金利上昇局面で業績が良くなる。銀行側ではコストとなる預金金利の上昇速度は、貸出金利の上昇速度よりも遅いからだ。つまり、バフェット氏は金利上昇がしばらく続き、銀行の収益は良くなると読んでいるのだろう。
一方、この20年来投資を続けてきたウォールマート株をすべて売却している。バリュエーション(PERなどの株価指標)が高くなったことに加え、アマゾンに市場を奪われており、長期的な成長性が鈍化したと判断したことなどが売却の理由ではないだろうか。
全体を通してみれば、アップル、バンクオブアメリカ、ウェールズ・ファーゴのトップ3で全体の株式ポートフォリオの約半分を占めている。また、銀行セクターで4割以上を占めている。分散投資とは真逆の集中投資を行っている。