アメリカ株が軟調である。特にハイテク成長株のウエートの高いNASDAQ総合指数は、金利上昇局面で売られやすく、NYダウよりも下げが厳しい。
8月30日に場中で付けた8133ポイントが過去最高値であるが、10月に入り崩れ始め、10月29日には安値6923ポイントを付けている。その後は一旦リバウンドしたものの、足元では再び売られており、11月16日の終値は7028ポイントとなっている。
一般に、高値から10%下がると、下げ相場入りするといった経験則があるが、NASDAQ総合指数は11月16日現在、高値から14%下げている。これまで9年半にわたる長い上昇相場を形成してきただけに、ここでの弱気相場入りは、ある程度の調整を覚悟しなければならない。そうした観点から、世界中の投資家が、NASDAQ総合指数の値動きに注目している。
下落要因は、冒頭でふれたように金利の上昇が一因である。FRB(連邦準備制度理事会)は金融正常化のための利上げを続けているが、いつまで続けるつもりなのか、市場は注視している。
もう一つの下落要因は、景気見通しへの不安である。アメリカ景気にポジティブに作用する減税効果は2019年になれば無くなってしまう。インフラ投資拡大はどうなのか、2019年も加速させることができるのか、不安視する声もある。
財政赤字が深刻な上に、議会のねじれが生じている。2年後に迫った大統領選挙を前に、トランプ政権は切れ目なく景気を支える政策を打ち出すことができるだろうか。
その一方で、米中貿易摩擦が激化している。輸出依存度の低いアメリカでは、直接的な影響はそれほど大きくないかもしれないが、景気は微妙な踊り場を迎えつつある。さらに、長期的なサプライチェーンの再構築を迫られた場合にはグローバル化したアメリカ企業にとって、そのインパクトは大きい。このような状況なので、市場関係者は、ことさらこの問題に過敏になっている。