夫婦のどちらかが「要介護認定」を受けたとき、バリアフリーのリフォームにかかった自宅改修費を取り戻すことが可能だ。まず介護保険を申請すれば、玄関や廊下、浴室、トイレなどへの手すり取り付けの工事費用が最高18万円まで支給される。
次は自治体の助成金だ。東京のすべての区と市、横浜市など多くの自治体には独自のバリアフリーへの補助金制度があり、たとえば千葉市では65歳以上の要介護認定者が住む住宅でバリアフリー工事の代金のうち最高約70万円(住民税非課税世帯)が払われる。
さらに、税金の還付もある。「リフォーム減税」としては改修工事の代金を借り入れたときのローン型減税がよく知られているが、それとは別に代金を全額自己資金で支払った場合も投資型減税(バリアフリー特定改修工事特別控除制度)を受けることができる。
控除額は工事代金が200万円を超える場合、最大でその10%の20万円が納めた所得税から還付される(1年のみ)。
また、この減税はリフォーム翌年の固定資産税の3分の1が減額される制度と併用可能だ。税理士・井上寧氏はこう説明する。
「バリアフリー減税は、他に耐震補強、省エネ改修、子供との同居対応などのリフォーム減税との併用もできます。
年金生活世帯には減税メリットは薄いかもしれませんが、子供への生前贈与などと組み合わせて自宅を改修するなど親子2世代で考えれば、まとまった税金の還付を受けることも可能になります」
※週刊ポスト2018年11月30日号