一方で、課題もある。ゴーン容疑者による“改革”が行なわれる前の「悪しき日産」に逆戻りはしないかという懸念を示す専門家もいるのだ。自動車業界を長く取材してきた経済ジャーナリストの片山修氏が話す。
「1990年代までの日産は組合との対立や学閥による支配構造など“内紛”が絶えない会社でした。それが2兆円もの有利子負債を抱えて倒産寸前の危機に陥る原因の一つとなった歴史がある。
ゴーン氏はたしかに独裁者だったかもしれないが、彼が君臨していたから、内部対立が抑えられ、表面化しなかったという面は見逃せない。日産の持つ“内に向きがちなエネルギー”をどうコントロールし、技術開発などの強みを伸ばしていけるか。ゴーンという“重し”がなくなり、そこが問われることになる」
現経営陣の戦いは、むしろここからが本番かもしれない。
※週刊ポスト2018年12月7日号