ルノーは「推定無罪」の原則から、ゴーン容疑者のCEO兼会長の職を解くことはしなかった。さらにCEO代行に任命された最高執行責任者のティエリー・ボロレ氏は、メディアのインタビューに対して「フランス政府のなかには(日産と)完全統合すべきだと公言する人もいる。それは事実」と堂々と“国家方針”を明言したこともある人物なのだ。
「マクロン大統領はもともと政府によるルノーへの関与を強化し、日産の“フランス企業化”を進めたい立場を鮮明にしてきた」(前出の経済部記者)だけに、このまま大人しく引き下がるとは考えにくい。ジャーナリストの片山修氏はこういう。
「ルノーは現時点で日産の株を43.4%保有している。日産の取締役を自分たちのコントロールが利く人間に入れ替えようとする可能性はあるだろうし、今後の捜査の展開次第では、ゴーンが日産を訴えて逆襲に出る可能性もある」
日仏国交樹立160年となる節目の年の“ゴーン・ショック”の波紋は、あまりに大きい。
※週刊ポスト2018年12月7日号