ただし、それはあくまでも「通常」発生する交通費です。遠方から高額の交通費をかけ、あなたのように宿泊までして駆けつけたファンがいたかもしれません。そうであっても、コンサートの希少性、チケット代の金額、コンサートの継続時間など、遠方からやってきて、一定期間宿泊するのが当然だと考えられるような特異な事情がない限りは、通常発生する損害ではないと判断され、賠償対象にはならないと思います。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2018年12月7日号