老後資金に不安がある人は、リタイア後に「地方移住」して生活費を抑えるのもひとつの手だ。フィデリティ退職・投資教育研究所の野尻哲史さんによれば、移住に適しているのは「物価が安く、人口は50万人程度でかつ、近くに大都市がない“コンパクトシティー”」だという。
たとえば、愛媛県の松山市は人口が50万人程度で、周りに大都市がない。だからこそ、市内には百貨店が2つあり、温泉や病院などが集約されている。こういう都市こそ、理想的で、ほかにも、奈良、前橋、鹿児島、岐阜などがその条件を満たしている。
だが、それらを踏まえて、すぐに「ならば松山に、奈良に、前橋に…」などと移住先を絞るのは早計。実際に大阪市から山口県の周防大島町に移住したファイナンシャルプランナー兼、同町の移住アドバイザーの泉谷勝敏さんは、ネットなどで調べた情報だけでなく、現地に行って調べる“下見”が何より大切だと言う。
「情報収集は、実際に訪れて下見をしながら行うのがおすすめです。というのも、都市の条件がよくても、現地の人が自分を受け入れてくれるかどうかは、また別の話ですから」(泉谷さん・以下同)
下見では次のことに留意を。
「候補地には時間をかけて何度も通い、交通機関や医療機関、行政サービスなどを確認しましょう」