昨年末に一本調子で上げてきた日本株市場も、今年に入って乱高下し、不安を覚える投資家も少なくないだろう。そうした不安に応える投資法を投資ソフト開発会社ケン・ミレニアムが提唱している。同社はこれまで割安株投資や転換点投資を提唱し、投資家の支持を集めてきたが、リスクを減らして着実なリターンが期待できる「新割安ゾーン投資法」を森田謙一社長に解説してもらった。
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個人投資家が犯しやすい失敗パターンは、大きく分けて2通りある。ひとつは、「底値だと思って買ったら、さらに大きく下がってしまった」というパターン。総じて個人投資家は、高値をつけてから少し下がると安いと感じて買いたくなるものだ。しかしこうした感情的な相場観で行動すると、天井付近や下落の初期段階で買ってしまい、本当の買い場では含み損を抱えるばかりで身動きが取れなくなってしまう。高値づかみの典型的なパターンだ。
もうひとつの失敗パターンは、「下がってきたので買いたいけれど、買った後にもっと下がったら大変なので買う決断ができない」という例だ。この場合、損はしなくて済むけれど、絶好の投資チャンスを逃してしまうことになる。
そこでケンミレでは、このふたつの失敗を防ぐための投資法「割安ゾーン投資法」を提案している。上昇相場での下落局面という絶好の投資チャンスを逃さず、利益を大きくできる投資法だ。
まず、投資チャンスとなる割安局面に来たとき、投資資金の10%だけ投資をする。なにをもって割安局面とするかの判断基準は人それぞれだろうが、ケンミレでは年に2回程度発生する下落トレンド「中期下落波動」が認定されたタイミングで投資するのが安全性が高いと考えている。短期的な下落はもっと頻繁に起こるが、年2回程度しか起こらない中期的な下落はより大きく値下がりし、その後の反発も大きいので、買いタイミングとしては適しているからだ。
中期下落波動が認定され、大底に近い割安ゾーンに到達した銘柄は、ケンミレのソフトなら簡単にピックアップすることができるが、下げ止まるタイミングまでわかるわけではない。今後上昇に転じるか、さらに下落するかはわからないのだが、最初の資金はここで投じるのだ。
これなら「下がったと思って買ったらさらに下がる」パターンが発生しても、資金の9割は残っているのでそれほどダメージはない。「もっと下がると思うと怖くて買えない」という投資家にとっても、資金の1割だけなら、買うのはさほど怖くはないだろう。
買った後で上昇すれば、素直に喜んで利益確定をすればいい。もっと投資しておけばよかったと思うかもしれないが、大きく負けないためには必要なリスク管理だ。次の下落局面に備え、銘柄研究しながらキャッシュを温存しよう。
問題は、買った後でさらに下がったときだ。この場合、資金の30%を追加で投資する。最初に買った時よりも株価は下がっているので、資金額は3倍でも実際はそれ以上の株数を仕込める。買った後で上昇すれば、最初の買いの後で上昇した場合よりも、利益はずっと大きくなるはずだ。
※マネーポスト2014年春号