さらに、先んじて導入されたヨーロッパでは気になる状況が起こっているという。
「マイナス金利を導入したヨーロッパ諸国では年金の運用がまともにできなくなり、スイスでは“将来、年金が支給されるかどうか”という事態に陥っています」(中原さん)
日本の年金は、安定的な投資先である日本国債などで運用されてきた。だが、マイナス金利によって国債の金利が低くなれば、予定していた運用益が上がらなくなる。
「切羽詰まってリスクのある株式などに投資するしかなくなりますが、株価が暴落すれば、運用益どころか大きな損が出てしまう」(中原さん)
影響を受けるのは年金だけではない。同様に日本国債などを中心に運用されてきた貯蓄性の高い生命保険や、年金の足しにと加入していた終身保険、学資保険などの運用も悪化し、「当然、利率は下がることになる」(中原さん)。
マイナス金利政策は、私たちの暮らしに、マイナスの影響を与えるかもしれないことを知っておこう。