家計

投資しない「老後貯金族」 預け先の銀行に怒りの矛先

 そして「老後貯金族」の怒りは、資金の預け先である銀行に向けられている。関東在住の60代男性が言う。

「高齢者がカネを使わないことが悪いかのように言われているけれど、別にタンスに貯め込んでいるわけじゃない。俺たちのカネで銀行がちゃんと投資すればいい話で、預ける俺たちが文句を言われる筋合いじゃない。銀行が安全な国債ばかりを買っているんだから、素人の我々にリスクのある投資しろと言われたって素直に受け止められるはずがない。

 定期預金の金利を上げてくれとは言わないけれど、せめて経済のポンプ役くらいは果たしてほしい」

 現在、民間銀行と日銀の国債保有率は6割近くに達する。元銀行員で和光大学名誉教授の三宅輝幸氏が言う。

「株式などの運用比率は増えているものの、融資額は停滞が続き、依然としてメインの運用は国債です。日銀が金融緩和をしても、国債を買うだけでは資金が外部に流れず、日銀と金融機関で回し合っているだけになり、経済の循環には寄与しない。個人金融資産の滞留を批判する前に、それらのお金が集まる金融機関の姿勢の変化が求められる」

※週刊ポスト2016年2月12日号
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