深刻な話のように聞こえるかもしれないが、暗くならなくてもいい。
一人ひとりが生き方、考え方を変えれば、現実は大きく変わるのである。いま、高齢者は社会にとってマイナスの存在だと思われている。どうすればそれをプラスに変えられるのか、考えるのだ。
人生の後半戦を面白く充実したものにする――決して簡単ではないが、知的で刺激的な思考だと思う。真剣に工夫すれば、前半戦と同じくらい、あるいは前半戦以上に充実したものにすることだって可能になる。
発想を変えて、経済的にも、精神的にも自立した老後を目指すのである。
生きがいを持って、主体的に考えて行動する〈飛行機〉型の高齢者を増やす。世界中の先進国が、多かれ少なかれ高齢化には悩まされているが、そんな社会を実現した国は存在しない。だからこそ、いま、日本で挑戦する意味がある。
定年後の第二の人生は、現役時代の「ふろく」ではないのである。
※外山滋比古・著『お金の整理学』より