人生100年時代に突入することで、様々な問題が生じてきている。「子供に介護で迷惑を掛けたくない」――そう考えていたAさん夫婦は、体が元気なうちに自宅を処分し入居一時金を工面。夫婦で有料老人ホームに入居することにした。
月々の利用料は、年金と蓄えを取り崩しながら支払っていける計算だった。ところが、思っていたより長く生きたことで全く想像もしていなかった事態が起きた。
ホームに入居したときにはまだ現役バリバリだった息子が年を重ね、「オレもどうせなら親父と一緒のホームに入居できないか」と言い出したのだ。“まさか! いつの間にそんな年齢になっていたんだ……”
子供に介護の負担をかけまいとホームに入居したはずが、気づけば子供も介護が必要な年齢に。Aさんが途方に暮れるのも無理はない。介護評論家の佐藤恒伯氏が語る。
「団塊世代の親が90代になり、70代の団塊ジュニア世代の子供が親と同じホームに入居するようなケースはこれから間違いなく増えていくと予想されます。
問題は、子供世代の年金支給額は間違いなく親の世代より低くなること。子供が自分の年金だけで毎月の利用料を賄っていくのは難しいでしょう。そのうえ、ホームで包括的な介護サービスを受ける際の自己負担などもこれから引き上げられていく。ホームの入居が長期化すれば親の蓄えが減っていき、親子で支え合うことができないくらい資金的に苦しくなる心配があります」
こうした時代が到来することで、親子の世代間での年金格差という大きな問題があらためて浮き彫りになりそうだ。現役世代は少しでも貯蓄をしておくしか方法はないのかもしれない。
※週刊ポスト2018年12月14日号