ダメだと分かっていながら、どうしても抑えきれないのが「怒り」。近年では、怒りと上手に向き合う「アンガーマネジメント」という単語がビジネスシーンで注目されているが、実行するのはなかなか難しそうだ。もし本当に怒ることをやめたら、どんな変化があるのだろうか? 20代の半ばに怒りと決別することに挑戦したTさんは、人生が確実に変わったという。
Tさんは現在30代で、仕事は父から継いだ小さな工場の経営者。今でこそ、怒ったり怒鳴ったりしなくなったが、かつては正反対のタイプだった。かつてのTさんをよく知る男性がいう。
「Tは学生時代の後輩ですが、当時はとにかく厄介なヤツでした。目つきが鋭く、不満があれば先輩の私でも容赦なく噛み付いてきましたし、『目が合った』『肩がぶつかった』といった些細なことで見知らぬ相手と殴り合いのケンカをしたこともありました」(Tさんの知人)
要するに不良少年だったTさん。そんな彼はなぜ、怒りと縁を切ることができたのか? きっかけの1つは、いかにもケンカっ早いタイプの人間ならではの事件だ。Tさん本人が振り返る。
「怒るのをやめたきっかけの1つは、街中でボコボコにされたことです。ある日、横断歩道を青信号で渡っていたら、車が突っ込んできて轢かれそうになったので文句を言ったところ、中から男が4人降りてきて袋叩きに遭いました」(以下「」内Tさん)
警察に駆け込んでもおかしくないような話だが、泣き寝入りしたTさん。友人には、「そんなことをしていると、いつか大怪我をするぞ」と忠告を受けたという。そんなTさんの最大の転機となったのは、当時の彼女が発した一言だった。