「夫の死後、義親の扶養義務は同居している嫁より、最も近い直系血族である夫のきょうだいが負うのが筋。しかし、直系血族らが生活苦などで扶養する能力がない場合、血のつながりはなくても“3親等内の親族”にあたる嫁に扶養してもらいたいと家庭裁判所に『扶養義務設定』を申し立てることも考えられます。
生活に余裕があるというだけで認められることはほぼありませんが、これまでに嫁が物心両面で相当の恩恵を受けながら同居し続けているなどの背景があると“特別な事情”と判断され、義親の扶養義務を負わされる可能性があります。しかし、姻族関係終了届を提出していれば、親族ではなくなるため、扶養義務を負う可能性はゼロになるのです」(佐藤さん)
婚姻関係終了後届でも、子供の血縁は切れない
千葉県在住の大田慶子さん(仮名・53才)は、40才のときに夫をがんで亡くした。
「余命わずかとわかった時点で、遺された家族にどんな選択肢があるのか調べ、姻族関係終了届の存在を知りました。夫の死から半年後に提出。義親のみならず、金に汚く自分の考えを押しつけてくる義妹とも縁が切れて清々しました。
ただ、私の子供は義親らとの血縁関係を切ることができないので、何かあったら弁護士に相談するつもりです」(大田さん)
相続は死亡とともに始まるため、姻族関係終了届を提出しても、配偶者は相続権を失うことはない。義父母の遺産の相続権は配偶者にはないが、祖父母と直系血族にあたる孫は、父親が受け取るはずだった遺産を代襲相続で受け継ぐことができる。
※女性セブン2018年12月20日号