過去30年さかのぼって大納会と(翌年の)大発会の日経平均株価を比べると、上昇22回に対して下落は8回。実に「勝率7割超」だ。ちなみにプラスマイナス0.5%以上の変動があった年に限れば勝率76.5%、1.0%超の変動では勝率88.9%。変動幅が大きいときほど、株価上昇の割合は高い傾向にある。
このデータを踏まえた売買は、一部投資家の間で「年またぎ投資」として定着しているという。
「大納会の日の引けで買って大発会の日の寄りで売るだけ。その時の経済状況や企業業績の分析も要らないシンプルな手法です。運任せの博打のように見えるかもしれませんが、言うなれば“日付に投資する”のです。勝率が7割、8割なら、かなり分がいい」(実践している個人投資家)
それにしても、なぜ大納会から大発会までの間に株価は上昇しやすいのだろうか。グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏はこう分析する。
「大口の機関投資家は、米国のクリスマス休暇や日本の正月休みといった長期休場期間の株価変動を嫌がるため、休暇前に手仕舞い売りをして利益を確定させる傾向がある。また、税金の関係で年内に損失計上しておこうと考えて損切りする人も多い。そうしたことから大納会の頃には株価が下がりやすいといえます。
一方、新年には海外の新年度開始による資金流入や、年末に手仕舞い売りした人の投資再開で買いが入りやすい。加えて大発会では“縁起を担いで買う”という人もいるし、“今年は景気のいい年にしたい”というマインドも働く。だから上昇傾向が生じるのかもしれません」
来年は平成最後の大発会。新時代が始まる年だけに「縁起買い」が例年より増えると見られている。
※週刊ポスト2018年12月21日号