人生100年時代を迎え、生活するための資産にも、“延命措置”が必要になる。「人生80年」を前提にした生活設計からの“発想の転換”が求められる。それは働き方や生活必需品の扱いについても言える。日本人の平均寿命は男性約81.1歳、女性約87.3歳(2017年)に達した。実は、日本人の“本当の寿命”はもっと長い。同い年の2人に1人がその寿命まで生きる「50%生存年齢(寿命)」を試算すると、現在55~60歳の男性の「2人に1人」は90歳超、女性の半数は100歳近くまで生きる――そう推定されているのだ。
【老人ホームに入っても働ける】
定年後も“様々な働き方がある”ということに目を向けていきたい。平気寿命より実際は多くの人が10年近く長生きすることを試算して“長生き社会”に警鐘を鳴らす永田宏・長浜バイオ大学教授が語る。
「“元気な時期だけが働ける期間”という考え方も捨てた方がいい。体が不自由で老人ホームに入ってからでも、パソコンやネットを駆使して仕事はできるし、通勤しての仕事だって可能性を排除する必要はない。そうして社会とつながりを持つ意欲があれば、頭も働いて老化防止、健康維持にもつながる」
【生活必需品こそ処分できる】
収入を増やすことだけでなく、必要がないのに払っているお金の洗い出しも必須となる。たとえば自宅の「有線電話」。携帯やスマホを持っているなら解約しても困らない。「自家用車」も、歳を取って使用頻度が減れば売る。ガソリン代や保険料など維持費を考えれば、必要時にカーシェアリングを利用したり、タクシーの方が安くつくことは少なくない。
部屋が余っている広い「家」も維持費がかかる。売却や賃貸して夫婦で安い公営住宅に住む。
本当に必要なものが何か、冷静に家族と話し合った方がいい。
※週刊ポスト2018年12月14日号