ロングセラー商品といえば、同一カテゴリー商品の中では高いシェアを誇り、安定的な売り上げがあるため、特に冒険してまでリニューアルをする必要はないと思われがちだ。そんな中、売れ行き好調にもかかわらず、ロングセラー商品のパッケージ変更に挑む企業には、どんな戦略があるのだろうか。ここでは、マヨネーズ、納豆、牛乳という3つの商材のロングセラー商品のリニューアル秘話をそれぞれの製造元に聞いた。
まずは、キユーピーのマヨネーズである。今年の夏から350gのキャップの穴を1つ穴から3つ穴に変更した。主力である450gは今まで通り1つ穴のままである。これまでも、おまけとして3つ穴キャップを付けて販売していたことはあったが、「あのキャップはどこに売っているのか?」などの問い合わせが寄せられるなど好評だったこともあり、正式に純正のキャップとして採用された。これまで同様、キャップを外せば従来通りの“ダブルキャップ構造”によりマヨネーズを星型に出すことも可能だ。
リニューアルにあたり、細かい箇所にも工夫が施されている。穴の数は増えたが、使用量が1つ穴と同じ量になるように設計した。線の出方については、均等の太さで出るように真ん中の穴の直径が小さくなっている。小さくしたら均等にならないと思うかもしれないが、同社広報担当によると、「真ん中の径を小さくすることにより3本がくっつかずきれいに見えるのです」という。
ノズルについては高くして微妙な角度を付けることにより、切れの良さを追求している。3つ穴が「おまけ」だった頃は、従来品とは異なり、ひっくり返して立てられるようにキャップ上面を広くしていたが、使用感を変えずに誰でも使えるように、従来品のキャップの形状を継承した。
3つ穴については、もともとおまけで付けていた時から好評だったというが、「3つ穴にすることによって実現された細かな線は、まるでお店で出されるサラダやお好み焼きのように見栄え良く演出できる」(同前)という効果もあるようだ。これにより、普段の家庭料理に華やかさが増す。SNSなどではこれまでマヨネーズに触れていなかった若い女性層からポジティブな反応が出てきているという。これまでのサラダ調味料を脱却し、万能調味料として使用してもらうことを目指しているようだ。