仮想通貨のマイニングに使われる装置では世界シェアの7割超を占めるビットメインが香港市場にIPO(新規上場)の申請したのは9月26日。あれから、3か月弱が経過したが、依然としてIPOは行われていない。
そのほか、業界トップ3である嘉楠耘智、億邦国際も香港市場にIPO申請を行っているが、嘉楠耘智については有効期限を過ぎており、申請自体が失効している。億邦国際については有効期限が迫っている。残るのはビットメインだけであるが、現状では実現の可能性は低いとみられている。
この背景にあるのは事業環境の急激な悪化である。12月16日の毎日経済新聞(中国メディア)によれば、ビットメインのマイニング装置T9+は1月3日には2万4900元(約41万円、1元=16.5円、以下同様)で販売されていたが、現在は1150元(約1万9000円)まで値下げされている。全体に価格が大きく下がっており、同じシリーズの最高機種であるS15 27T(電源込み)でも9000元(14万8500円)に過ぎない。
マイニング装置価格下落の要因は、もちろん仮想通貨が軒並み暴落していることにある。
ビットコイン(BTC/JPY)の価格推移をみると、2017年末には200万円を超えていたが、12月16日の終値は36万2506円である。ほかの仮想通貨も大きく下げており、こんな状態ではマイニング業者の設備投資が進むはずもない。
ビットメインは、マイニング装置の製造販売のほか、マイニングも行っており、2018年6月30日現在、仮想通貨の保有額は総資産の28%を占めていた。仮想通貨価格の下落は収益面だけでなく、資産評価の面でも大きなマイナス要因となっている。
各国政府の間では、仮想通貨取引がマネーロンダリングの温床として使われるとの警戒感が強い。仮想通貨は紐づけされる価値が希薄であり、価格形成が不安定で、投機がはびこりやすいといった特性がある。今後、金融商品として確立されるかどうか不透明なところがある。