がんの治療などでは、保険治療で医療費の自己負担額が一定限度を超えた場合、超えた金額が支給される高額療養費制度によって患者の経済的負担は減るが、保険適用外の先進医療を行なう場合には、その治療費に高額療養費制度は適用されない。
京都大学特別教授・本庶佑氏(76)のノーベル医学生理学賞受賞で一躍脚光を浴びた「オプジーボ」や「キイトルーダ」などの「免疫治療薬」はどうか。いずれも、がん治療の“第四の選択肢”として期待を集める治療方法だ。
当初は高額な薬価がネックとされたが、現在は保険適用が広がり、一部のがんにおいて高額療養費制度が利用できる薬となった。医療に詳しいジャーナリストの村上和巳氏の指摘だ。
「現在、オプジーボは胃がん、非小細胞の肺がん、腎細胞がんなどの7つのがんに適用範囲が拡大されました。キイトルーダも、2016年にメラノーマで承認された後、肺がん、尿路上皮がんなど4種類のがんへの利用が承認されています。これらも、一般的な収入の方が高額療養費制度を使えば、月額約8万円の自己負担で使用できます」
さらに、薬価引き下げの圧力も強まっている。高額治療費が国の医療財政を圧迫するためで、実際に当初は100ミリグラムあたり約73万円だったオプジーボだが、その後は同量で約36万円、約27万円と価格が下落し、11月には約17万4000円に改定されている。
「日本の薬価制度では、定期的に必ず薬価は下がります。免疫治療薬は大腸がん、食道がんなど患者の多いがんでも臨床試験が進められており、今後保険適用がさらに拡大しつつ価格も下がるはずです。オプジーボの投与量は1回240ミリグラムなので、2週に1回、1年間投与すると約1085万円かかる計算になりますが、今後2~3年のうちに1000万円を切るのではないかとみられている」(村上氏)