こうした買い方は「営利を目的とする継続的行為」で、一時所得ではなく、雑所得であり、一連の馬券購入が一体の経済活動としての実態を有することから、外れ馬券も当たり馬券収入に対応する費用である、というものでした。これは極めて例外的な判決です。
その点を踏まえ、パチスロで儲けが出たら、損した分を経費で落とせるかのご質問だと、パチスロで暮らしている、継続的に行ない生活の足しにしているとすれば、「営利を目的とする継続的行為」として雑所得になりますが、スッたお金を経費として控除できるかは事例もなく、私には判断がつきません。ただ、偶然性を排除した馬券の例とは違い疑問は残ります。トライするにしても、パチスロに投入した金額の証明が必要です。
将来、ライターになったときに、修行したパチスロ通いで負けた分を経費にできるかという質問であれば、それは無理。仕事に就いて所得を得るようになった後、勉強に使った費用を経費にはできないのと同じ理由になります。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2018年12月21日号