投機筋が作るジェットコースター相場
実需と投機筋の違いは、実需は、たとえば輸出企業であれば、製品を輸出し、代金を海外から外貨で受取りますが、外貨のままでは国内では使えませんので、その外貨を円に換えて為替取引は完結します。つまり輸出企業は外貨を売り放しで取引を終え、また輸入企業は逆に外貨を買い放しで取引を終えます。
それに対して、投機は売ったら必ず利食いか損切のために買わなければならないし、買ったら必ず利食いか損切のために売らなければ、ポジションが解消されず、為替リスクを負ったままになります。ですから投機はいくら粋がって売っても、いずれどこかでは、買ってきますし、いくら粋がって買っても、いずれどこかでは、売ってきます。これが、投機筋の最大の弱点です。
尚、機関投資家はある意味、期間の長い投資という名の投機だと言え、基本的には外貨買い先行で、いずれどこかでは売らなければなりません。
ですので、4月後半までの投機筋だけの相場は、上げれば下がる、下がれば上がるというジェットコースターのような相場に、投機筋同士が疲弊する消耗戦となりがちです。
このようにマーケットでは投機筋が、あたかも剛腕を振るっているような印象を受けますが、実はつらい目にも結構遭っています。いずれにしても、4月も始めから後半までは、どうしてもという理由がない限り、極力マーケットに参入しないことが必要な事だと思います。
6月末の欧米勢にも要注意
4月の例は本邦の新年度に絡んだ動きですが、その他には年初は欧米勢の新年度入りの仕掛け相場、6月末の欧米勢の中間決算前の手仕舞い相場、9月の欧米勢の実質的な下期のスタートによる仕掛け相場、10月の本邦の下期のスタート、11~12月の欧米勢の本決算の手仕舞い相場といったものがあります。
こうした年間通して本邦勢、欧米勢の決算や年度初めが相場にある一定の法則性をもたらせており、無視できないものがあります。
特に6月末の欧米勢の中間決算が、マーケットに与える影響度は大きく、つまりは年初来試してきた方向のポジションを、単に中間決算のために実際に逆取引によって手仕舞ってくるため、何もニュースやイベントがなくても、相場が大きく反転することがありますので、必ず押さえておく必要があります。図1、図2が例です。
なぜ11月、12月の本決算よりも、6月末の中間決算の方が、マーケットに影響を与えるかといえば、それは7月から年末までの下期が7月、8月の夏休みシーズンや、12月のクリスマスシーズンなどがあるのに比べて、1月から6月までの上期の方が実働日数は多いため、取引のボリュームが上期の方が大きくなる傾向にあるためではないかと考えています(2016年2月3日執筆)。
※マネーポスト2016年春号
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