米国の株式市場が急落している。掲載したダウジョーンズの週足チャート(https://www.barchart.com/より)を見て欲しい。
このチャートを見ると、ダウジョーンズ株価は、2016年の年初ころを起点にして、サポート・ライン【青の破線】に従って、大きく上昇したと言える。
そして、このサポート・ライン【青の破線】を割り込んで、最初の「売りシグナル」を発したのだ。
ただし、この最初の「売りシグナル」を発した時点では、ダウジョーンズ株価は、高値圏で、【緑の破線】で示したボックス相場を形成中だった。
つまり、この時点では、このボックス相場が維持されていた。このボックス相場【緑の破線】の上限は、おおよそ27,000ドル、下限は、おおよそ23,000ドルで、その値幅は、約4000ドルである。
そして、12月20日のニューヨーク市場で、ダウジョーンズ株価は、23,000ドルを割り込み、このボックス相場【緑の破線】の下限をブレイクし、新たな「売りシグナル」を発した。
ボックス相場のセオリーは、『ボックス相場を下抜けする場合は、そのボックスの下限から、そのボックスの値幅分、下落したところがターゲットになる』というもの。
このセオリーに従えば、ボックス相場の下限23,000ドルから、ボックスの値幅分(約4000ドル)下落したところがターゲットとなる。
このボックス相場【緑の破線】を形成する際の値動きを俯瞰すると、その形状は、典型的な「ダブル・トップ」を完成する格好となっている(【ピンクの破線】で、その形状を表示した)。
もちろん、チャート分析は万能ではなく、上述の「売りシグナル」が、必ず正しいとは断定はできない。チャート分析は嫌いだという方々や、チャート分析は科学的ではないと考える方々からの異論は、当然に噴出することだろう。
しかし、現時点でのチャートの形状を見ると、危機的な状況であり、このボックス相場【緑の破線】を下に抜けたので、大きく急落する可能性があることに、最大限の注意を払うべきだろう。好き嫌いの問題ではなく、リスクの可能性があることに注視するべき、と考えるからだ。
つまり、ダウジョーンズが、23,000ドルを割り込んだので、いわゆる「買い方」は、一時撤退を視野に入れるべき、ということだ。
ダウジョーンズが23,000ドルを割り込む場合は、日本の株価にも大きく影響を与えて、日経平均株価も大きく下落するだろう、と考えていたが、いよいよそれが現実となったと判断している。
(2018年12月21日東京時間12:00記述)
◆松田哲(まつだ・さとし):三菱信託銀行、フランス・パリバ銀行、クレディ・スイス銀行などを経て、オーストラリア・コモンウェルス銀行のチーフ・ディーラーとして活躍。現在は松田トラスト&インベストメント代表取締役として外国為替や投資全般のコンサルティング業務を行う。HPは「松田哲のFXディーラー物語」(http://matsudasatoshi.com/)。メールマガジン「松田哲の独断と偏見の為替相場」も発信中。