アメリカが金融緩和の縮小を開始したことで、新興国通貨からの投資マネーの引き上げが顕著になった。FX(外国為替証拠金取引)でも、新興国通貨に投資しにくい状況となっているが、トレーダーに根強い人気の豪ドルはどうだろうか。為替のスペシャリスト、松田トラスト&インベストメント代表の松田哲氏が解説する。
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米ドル、円、ユーロ、英ポンド、豪ドルの中で新興国通貨の影響を最も受けやすいのは、新興国通貨に近い豪ドルである。量的金融緩和策の縮小(テーパリング)も材料に、豪ドルの下落が鮮明になっており、基本的な流れは「豪ドル売り・米ドル買い」で変わっていない。
オーストラリア準備銀行(RBA)はさらなる利下げの可能性や、自国通貨安を望んでいることを明言しており、豪ドル/米ドルは0.8米ドルを割れる方向で下落する可能性も十分ある。豪ドル/円も下落する方向でみている。
ただ、クロス円(米ドル以外の通貨と円の通貨ペア)は直接的には米ドルを介さない。テーパリングという材料でトレードをするなら、相場の動きも予測しやすい対米ドル取引に集中したほうが効率的だろう。
現在の相場において日本人にとって最もやりやすいのは、米ドル/円を買うことだ。正攻法すぎて面白味はないかもしれないが、地道でわかりやすく、儲けやすいという意味では、米ドル/円の買いが王道の戦略となる。
※マネーポスト2014年春号