【年金受給世代】10年後には1割減
多くの人は、いったん年金受給が始まれば、ずっと同じ金額をもらえることを前提に老後の人生設計を考えているはずだ。
しかし、すでに年金を受給している世代も、「年金減額」からは逃れられない。年金額はマクロ経済スライド(※注)という仕組みで当面の間、年間0.9%ずつ実質目減りすると推定される。今年65歳になって月額16万円の年金をもらっている人も、10年後にはインフレを加味した実質価値が約14.6万円、20年後は約13.4万円、30年後には約12.2万円まで減る。
【※注/物価や賃金の上昇に比例して増額される年金の給付水準を、社会・経済情勢に応じて自動的に抑える仕組み】
生涯の年金総額は約5927万円でざっと800万円の減額だ。
【これから受給する世代】支給開始が1歳遅れるごとに「年金1年分」減額される
これから年金を受給する世代の生涯年金は、前述のマクロ経済スライドによる減額に加え、支給開始が1歳遅くなるごとに「年金1年分」ずつ減らされていく。
過去の制度改革の年金支給開始年齢の引き上げは段階的に行なわれてきた。
別掲の「早見表」では、2019年の年金改正で「70歳支給」を決定、翌2020年から支給開始年齢が「2年ごとに1歳」ずつ段階的に引き上げられる。さらに70歳支給に完全移行する2033年までに改めて「75歳支給」が決められ、そのまま2年に1歳ずつ引き上げられていくという前提で試算した。これに立てば、75歳支給への完全移行は2048年、現在45歳の世代からになる。
世代ごとの年金総額は、現在60歳の世代は約5299万円、55歳は4553万円、50歳は4033万円、45歳は3407万円。現行制度のおよそ半額に減る。
ちなみに、70歳支給への引き上げ開始が2020年から5年遅れて実施される場合は、「早見表」で自分の年齢に5歳足した年齢の欄にある金額が年金総額のおおよその目安となる。
※週刊ポスト2019年1月1・4日号