年金は、定年後の長い生活を継続的に支える「老後の命綱」。それにもかかわらず、厚生労働省は、およそ25年後には年金受給額を約2割減らす見通しを発表している。少子化と長寿化で、現状のままでは政府は年金制度を維持していけないのだ。
2019年は、これまで適用されなかった「マクロ経済スライド」という仕組みを発動する可能性も高い。これは、年金財政を支えるため2004年に導入された仕組みで、社会環境に合わせて物価や賃金のほか、労働力人口や平均余命なども考慮して年金受給額を自動的に調整するもの。このマクロ経済スライドが適用されれば、受給額はさらに減る見込みだ。
悪いニュースばかりの年金制度。しかし、年金はいつからどう受け取るか、どんな制度を利用するかで、大きく姿を変える。ここでは、年金受給額を増やすために、押さえるべきポイントを紹介する。
現在、年金は65才から受給できるが、この時期を早めたり遅らせることで受給額が大幅に変わることをご存じだろうか。「年金博士」こと、ブレインコンサルティングオフィスの北村庄吾さんが話す。
「受給開始時期を早めることを年金の『繰り上げ』、遅らせることを『繰り下げ』といいます。どちらも65才を起点に最大5年の間で選べ、その選択によって年金額が変わります」(北村さん・以下同)