ただ、業務遂行に関する皆勤手当等は手当支給の目的や必要性の上で契約社員と正社員には差異がなく、その不支給は不合理で不法行為になるとし、差額の損害賠償を命じました。また、同じ日に最高裁は労働組合との団交を経て、定年再雇用後の賃金体系を変更した例についても判断しています。
これは厚生年金の報酬比例部分支給開始まで調整手当を支給するが、正社員に支給する退職金や賞与、諸手当を支給しない条件で定年前と同じ業務に嘱託として再雇用した判例です。定年再雇用の事実を法20条の「その他の事情」として、相違を合理化する方向で考慮、賃金体系の変更によって、給与の減額が余りないことも踏まえ、原告の大半の主張を退けました。ただし、精勤手当は精勤を奨励する目的の上で、正社員と違いはないので不支給は不合理であると判断し、訴えを認めました。
なお、今年6月のパート法改正により、2020年4月(中小企業は2021年4月)から、正規社員と同視すべき契約社員への差別扱いが、禁止されるようになります。
※週刊ポスト2019年1月1・4日号