受給開始年齢の引き上げが検討されるなど、「年金大改悪」を前にして老後の「お金」の悩みを抱えている人は多い。「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾氏が講師を務める老後資産セミナーでは、切実な質問が飛び交う。
その中でも多いのが、「退職時の貯蓄はどれくらい必要か?」というものだという。
「定年退職後の老後資金は3000万円必要。人生100年時代には5000万円あったほうがいい」――というのはよく聞かれるが、なかなかハードルは高い。だが北村氏は、「退職時の貯えは少なくても大丈夫」と断言する。
「セカンドライフに必要な基本生活費は、一般的に年金を除いて約3300万円といわれています。しかし、ここには60~64歳の5年間の再雇用での収入が含まれていない。年収300万円とすれば、5年間で1500万円の収入になる。この稼ぎと年金の支給額を加味すれば、定年退職時に1800万円の貯えがあれば十分暮らしていける」
独り歩きする「3000万円」という数字に惑わされることなく、定年後の再雇用を前提に、新たな生活設計をしてみるといいだろう。
※週刊ポスト2019年1月1・4日号