「妻の年金」を1割増やせ
だからこそ消費税10%時代には、老後マネーの防衛術が重要になる。
消費増税に合わせて年金生活者支援給付金が新設される。65歳以上の低所得者に基準額最大5000円を毎月支給するもので、年額6万円の“年金補填”制度といっていい。
「低所得者対策」といっても対象はかなり広い。どんな人が支給対象となるのか。制度の詳細は政令で決められるが、支給条件は「世帯全員住民税非課税」で、本人の年金その他の所得が「老齢基礎年金の満額金額」(約78万円)以下となっている場合だ。
前述の標準モデル世帯の夫婦の場合、夫が年金(月額16万円)の他に収入がなければ多くの自治体で「住民税非課税」であり、妻は非課税のうえに年金が年72万円なので条件をクリアし、「6万円給付」の対象となる。妻の年金がざっと1割増える計算だ。
夫が雇用延長で働きながら年金をもらっており、住民税が課税されているため給付の対象外となる世帯でも無関係な話ではない。
2014年の消費増税時に高齢者に配られた3万円の「臨時福祉給付金」は1回の渡しきりだったが、今回の年金生活者支援給付金は法律で「恒久的」な制度としての創設が決まっている。そのため、夫が完全リタイアして年金生活に入った後、条件を満たせば妻が年金補填を受けられるのだ。
他にも見落としてはいけない制度がある。「年下妻」を持つ夫は、年金受給開始時に届け出をしないと年金の“配偶者手当”にあたる加給年金、特別加算の合計38万9800円(年額)をもらい損なうことになる。申請さえすれば妻が65歳になるまで受け取ることができる。
また、妻の年金受給手続きの際には、夫の年金番号を届け出なければ振替加算がつかない。その申請を忘れるケースが多い。年金の「プラスアルファ」には何があるかをチェックして支給漏れにならないようにすることが、消費増税で加速度的に年金が減らされていく時代に必要な知恵だ。
※週刊ポスト2019年1月11日号