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米大統領選 トランプ氏当選で日本の株式市場に壊滅的打撃か

◆FRBはかつてバブル期の日銀の役割を世界的規模で果たす

バブル期にPER70倍の株価を支えたのは、プラザ合意(※注)後の円高不況を受けて、公定歩合を当時としては異例の低さである2.5%まで引き下げた、日銀の金融緩和政策であった。

【※プラザ合意/1985年9月に開催された先進5か国蔵相・中央銀行総裁会議(G5)で討議されたドル高是正のための施策。以降、円高ドル安が急速に進行した】

ところが、日銀は1989年5月に9年ぶりの利上げに転じていた。そして、12月に大蔵省出身の澄田智氏に代わって総裁に就任した生え抜きエリートの三重野康氏は、バブルを潰すための金融引き締めを唱え、株価が暴落する中、公定歩合を1990年8月の6%まで着々と引き上げていった。

このような史実を頭に入れた上で昨年来の株式市場を振り返れば、FRB(米連邦準備制度理事会)が、かつての日銀の役回りを、世界的な規模で果たしていることに気づかれるであろう。

昨今の新興国からの資金流出も、原油価格の下落も、2008年のリーマン・ショックへの対策として打ち出された空前の量的緩和の縮小の副産物である。中国経済変調の一因も、ドルにペッグする人民元の実効レート上昇に求められる。

そして、昨年12月、FRBは、ついに政策金利を引き上げた。このままアメリカの利上げが続くのかと恐れおののき、世界の株式市場が悲鳴を上げた。それが、年初からの急落の一因である。

幸い、今日では、当時の三重野氏のような“蛮勇”をふるう中央銀行総裁は存在しない。日本の失敗に学び、金融政策の決定に際して株価の動向に十分に配慮することは世界の常識となっている。

もしアメリカの株価が下げ止まらなければ、イエレンFRB議長は利上げを停止し、必要とあらば更なる緩和の手段を模索するであろう。

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