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マイナス金利で予想される「副作用」 銀行手数料引き上げ等

日本銀行が導入した「マイナス金利」。一般の人が銀行に口座を開いている普通預金の金利がマイナスになるということではなく、金融機関が日銀に持つ当座預金の一部について「手数料」を取る仕組みだ。では、これによって一般の人にどんな影響が出てくるのか。マイナス金利の仕組みとその“副作用”について、「家計の見直し相談センター」の藤川太氏が解説する。

「家計の見直し相談センター」・藤川太氏

「家計の見直し相談センター」・藤川太氏

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日銀の当座預金を大きく3種類に分けると、【1】準備預金として定められた部分の金利はそもそも0%。【2】それを超えてこれまで積み上がってきた超過準備預金部分は民間金融機関に当座預金の積み増しを促すため、0.1%の金利が特例で適用されましたが、それは今回、温存されます。そして、【3】新規で当座預金に積み上がる部分にマイナス金利が適用されます。

【2】は現在200兆円近くあり、259兆円ほどある当座預金残高のほとんどを占めます。つまり、当初は当座預金のほとんどがマイナス金利とならないのです。

そう考えると、今回のマイナス金利ですぐに金融機関が苦しくなるわけではありません。ただ、マイナス金利がさらに下がって長期化すれば、私たちの生活にも様々な影響が出てくるでしょう。

おそらく今後、市場からはさらなる金融緩和を求める声が再び高まるはずです。そうなった時に黒田東彦総裁が「必要なら、まだまだ下げる」というように、マイナス金利を下げていけば、さまざまな“副作用”が予想されます。

すでに指摘されているように、銀行の収益が圧迫されるだけでなく、マイナス金利で債券運用ができなくなることで、証券会社が決済用に使っているMRF(マネー・リザーブ・ファンド)やMMF(マネー・マネジメント・ファンド)などの公社債投信が機能不全に陥るかもしれません。そのほか、生命保険会社が運用難に見舞われる可能性も考えられます。

【注:後に日銀は、MRFに関して、マイナス金利の適応外とすることを決めた】

今回のマイナス金利は、あくまで金融機関が日銀に預ける当座預金の金利に適用されるだけで、私たちの預金までマイナス金利になるわけではありません。しかし、このままマイナス金利を突き進めれば、やがて私たちの銀行口座管理料など銀行取引に関する手数料が引き上げられたり、生命保険の保険料が値上げされたりすることで、実質的な負担を強いられることになるかもしれないのです。

ましてマイナス金利で日銀が得る利益は最終的に国庫に納付されますから、形を変えた増税につながる恐れもある。

いずれにしろ、日銀に残された手段は限界が近づき、日銀頼みだけでは景気回復も覚束ない。そうである以上、今後は私たち自身で、資産防衛の手立てを考えておく必要が出てくるでしょう。

※マネーポスト2016年春号

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