5月1日の新天皇即位に伴う新元号が4月1日に発表されることになった。新しい時代の幕開けは、日本経済にどのような影響をもたらすのか。身近な事象と景気の関係に詳しい三井住友アセットマネジメントのチーフエコノミスト宅森昭吉氏は、新元号がもたらす経済効果について「時代が変わる『記念消費』の拡大が期待できる」と指摘する。
「2018年を振り返ると、何かにつけて『平成最後の』と銘打つ企画が目立ちましたが、平成の終わりと新元号の始まりが重なる2019年はこの傾向がさらに加速することが考えられます」
宅森氏は興味深いデータを紹介する。
「現在のGDP統計は1980年までさかのぼれます。1981年からのGDP統計をみると、1~3月期の前期比成長率が最も高いのは平成に改元された1989年で、2番目に高いのは『ミレニアム』に沸いた2000年です。いずれも個人消費と企業の設備投資の伸び率が特に高く、GDP成長率を引っ張る形になりました」
個人消費の伸びはまさしく、新しい時代が始まったことによる「記念消費」の効果で、企業の設備投資は新元号などへの対応によるものと考えられるという。
2000年を振り返ると、婚姻件数が増加したり、少子高齢化が進行する中で出生数が前年比増加に転じるなど、「ミレニアム婚」と「ミレニアムベイビー」に沸いた年だった。現在もホテルなどのブライダル業界では新元号にあやかったプランを打ち出すところも出ているほか、「新元号ベビー」を狙うカップルも出ているとか。
昭和から平成への改元やミレニアムはいずれも年明けだったが、今回の新元号は発表が4月で実際に改元されるのが5月だ。1~3月期は「平成最後」で盛り上がり、4~6月期は改元直後のフィーバーでGDP成長率に高い伸びが期待できるかもしれない。10月に予定されている消費増税の悪影響を吹き飛ばす「記念消費」の盛り上がりを期待したい。
文■森田悦子(ファイナンシャルプランナー/ライター)