積み立て投資なら安値で買え、高値の時に市場にいられる
投資で利益を得る方法は実にシンプルで、価格が安い時に買って高い時に売ればいい。しかし現実には、安い時はもっと下がるのではないかと恐怖を感じて買いにくいし、高い時はもっと上がるのではないかと欲が出てしまって売れないものだ。
しかし積み立て投資なら常に買い続けることになるため、安い時に買えなかったとか、高い時に何も持っていなかったと後悔する心配がない。一度設定したらなにもせずにほったらかしているだけで、安い時にしっかり仕込んで、高い時にはその恩恵を受けることができるのだ。
もしこれから本格的な下落相場が始まるとしたら、積み立て投資家にとっては後の利益を大きくする絶好のチャンスとなるので止めずに続けなければならない。逆にこれから上昇に転じるなら、市場に居続けなければ上昇の恩恵は得られないので、投資を止めずに続けなければならない。どちらしても、積み立て投資はやめてはいけないのである。
このしくみをよくわかっている投資家は、相場が下がるとむしろ喜ぶほどだが、多くの人はなかなかその境地までは至らないだろう。投資を続けるためにひとつ言えるとしたら、含み損が出ている口座をわざわざチェックしないことだ。
かくいう筆者もリーマンショックの直前に積み立て投資を始めてしまい、口座をチェックするたびに含み損が増えるのが嫌になって証券口座にログインするのをやめてしまったが、アベノミクス相場が始まって久しぶりに口座を見たら1.5倍に増えていた。これは、リーマンショック以降の相場低迷期にも止めずに積み立てを継続していたからに他ならない。
つみたてNISAは最長20年続けられる制度なのだから、途中で経験する下落相場は4~5回あってもおかしくはない。もし今、下落相場に突入しているのであれば、そのうち1回目が来ただけのことである。動揺することなく、淡々と続けていきたい。
文■森田悦子(ファイナンシャルプランナー/ライター)