投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が1月7日~1月11日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は弱含みか。世界経済の減速懸念が広がるなか、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げシナリオ下方修正への思惑が広がっている。低調な米経済指標を手がかりにドル売り・円買いが進みそうだ。不安定な株価が円買いを誘発する可能性もあろう。昨年12月31日に発表された中国製造業PMIと1月2日発表の財新製造業PMI(中国)はいずれも景気判断の節目である50を割り込んだ。それを受け、世界経済の減速はより鮮明となった。市場のセンチメントも悪化しており、米アップルの業績予想の下方修正を受け、ドルは3日のアジア市場で一時104円台に急落する場面もあった。
FRBは12月18-19日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の3カ月ぶり引き上げを決定した。同時に公表された2019年の金利見通しから、利上げペースは9月時点の3回から2回に引き下げた。12月会合の詳しい内容は9日公表の議事要旨で確認されるが、ハト派寄りの意見が多かった場合、利上げ打ち止めの思惑からドル売りが強まる可能性がありそうだ。1月第2週は米国の12月消費者物価指数(CPI)など経済指標が注目され、低調となれば金融政策への影響を警戒したドル売りに振れやすい。
米議会運営の影響による政府機関の一部閉鎖の混乱からドル売りも続きそうだ。株価に及ぼす影響も顕著であり、年末年始を挟んで状況は変わっていない(政府機関の閉鎖継続)ことから、NYダウの大幅安が目立つ。トランプ大統領は国境の壁建設をめぐる予算の獲得に関し、議会に譲歩しない方針を強調。政府機関閉鎖の問題は株安を招きやすい要因として、なお注目されよう。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨】(9日公表予定)
FRBは9日に12月18-19日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表する。この時に政策金利を2.00-2.25%から2.25-2.50%に引き上げている。議事要旨の内容によりハト派色が強まれば、長期金利の低下とドル売りを誘発しよう。
【米・12月消費者物価指数(CPI)】(11日発表予定)
11日発表のCPIは、11月は前年比+2.2%と予想と一致し、コア指数は+2.2%と10月実績を上回った。12月のコア指数が前年比+2.0%を上回る水準を維持できるかが焦点となりそうだ。