2019年の日本経済の行方は、果たしてどうなるのか。経済アナリストの森永卓郎氏は、「日本経済の展望は、10月に予定される消費増税が本当に実施されるかどうかで大きく違ってくる」と指摘する。以下、森永氏が解説する。
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「消費税率の引き上げは、2018年10月15日の臨時閣議で決定済み。2019年10月から予定通り実施される」と、メディアはこぞって報じている。しかし、私はそれが“誤報”になる可能性の方が高いと考えている。
振り返れば、そもそも2018年10月15日の臨時閣議後に、安倍晋三総理は記者会見を開かなかった。唯一、菅義偉官房長官が会見を行なったが、その場で「消費増税は予定通り実施するのか」と問われた菅官房長官は、「リーマンショック級の経済変動がなければ実施するというのは過去の答弁通り」、「最終的な決断は、状況を見ながら判断する」と答弁しただけで、むしろ消費増税が決定事項ではないことを強調したのだ。
安倍総理は2019年に入ったインタビューなどで「10月から消費税を引き上げる」と言及しているが、それでも私は、おそらく7~8割の確率で、消費増税は再度延期されると見ている。その理由はいくつかあるが、まずは2019年7月に予定されている参議院選挙だ。
2019年10月から消費増税を実施することについては、立憲民主、共産、社民、自由の4党に加え、国民民主や日本維新の会までも反対に回っている。参院選に向けて、「消費税凍結」で野党が一枚岩の共闘体制が取られれば、野党に追い風が吹くのは間違いないだろう。