そこで、こんな疑問が浮かぶ。財務省はなぜ、本来嫌がるはずの増収分が消し飛ぶような様々な景気対策を受け入れようとしているのか。その唯一の理由は、安倍総理と菅義偉官房長官のコンビが、消費増税を凍結するのではないかと、財務省は強く恐れているからだ。
安倍総理は過去2回増税を延期している。二度あることは三度あってもおかしくない。今回も、「予定通り消費増税を行なう」といって2019年7月の参院選に臨めば自民党は大敗を免れないので、再度の延期が十分考えられる。
ならば、たとえ消費増税による増収効果がまったくなくなったとしても、あらゆる景気対策を受け入れて、なんとしても安倍総理が消費増税を凍結しないような環境を整えていく。一度、消費税を10%にしてしまえば、後は景気対策で導入した減税措置を廃止していけばいい。それは消費増税を実現させるより、はるかに容易な作業だ。財務省は腹の底では、そう考えているのではないだろうか。