経済アナリストの森永卓郎氏は、景気循環やオリンピック特需の終焉、トランプ大統領の政策などを理由に、2019年の日本経済はマイナス成長となる可能性が高いと危惧している。では、その中での防衛策とは何か。森永氏は以下のように指摘する。
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「悪材料が揃い、2019年の日本の景気は悪化する」と指摘しているのは、なにも私だけではない。私が知る限り、ほぼすべてのエコノミストがそう言っているのだ。全員の見解が一致する時は、往々にして外れることが多いのだが、今回はその可能性は非常に低いと見ている。
景気循環やオリンピック特需の終焉、さらには米中貿易戦争の激化など、多くの悪材料が揃っている中で、2019年10月に消費税率を引き上げたら日本経済が奈落の底に転落することは明らかだ。前回の消費税3%引き上げ時には、消費が3%落ちて、経済はマイナス成長に陥った。まさに今回も同じことが起き、2020年の東京オリンピックは大不況の中で迎えることになるだろう。だからこそ、安倍晋三総理もそれをわかっていて、消費増税を再度凍結する可能性が高いのではないかと、私は考えている。
それでなくとも、2019年は経済状況が悪くなるので、日経平均株価も大きな上昇は期待できず、2万円を挟んだ値動きに終始する可能性が高いと見ている。そこで、もし2019年10月から消費税率を引き上げたら、日経平均株価は1万6000円程度までの大幅下落も考えられるだろう。
したがって、個人が金融資産を守ろうとするなら、2019年はポートフォリオの中の株式の割合を減らし、米国債を筆頭に債券の割合を増やすことが安全かつ得策だと考えている。2020年以降は、おそらくトランプ大統領が退陣し、景気循環上も景気が上向く。ただ、株価は半年後の景気を織り込むので、2020年には株価が上昇に転ずる可能性が高い。そのため、当面は株式のポジションを減らしておいて、日経平均が大幅安になった場合には、思い切って買いに入るという姿勢でいいのではないか。