遺産相続を“争続”にしないためには、何よりまず生前の家族会議で『財産目録』を作成しておくことが重要だ。預貯金の額、不動産や有価証券、貴重品の有無まで、死後に正確に把握することは難しい。あるはずのものがなかったり、ないはずのものが後になって出てきたりすると、深刻なトラブルにつながる。
相続の対象は、プラスの財産に限らない。クレジットの借り入れや個人間での借金といったマイナスの資産も相続される。相続コーディネーターで夢相続代表の曽根恵子氏が話す。
「老親が一人暮らしをしていて、生活費が足りないから消費者金融で借金をしていたという事例もあります。死後初めて“こんなに借りていたのか”と、遺された人が驚くといったことも多い。また、注意すべきは、『連帯保証人』の“資格”も相続されるということです。あらかじめわかっていれば、負債が多い場合には、生前に自己破産するといった対策も取れます」
だが、借金の有無や金額は親の心情としては答えにくいだろう。角を立てずに確認するにはどうすればよいのか。
「まずは、目録づくりの席で“知り合いの親御さんは借金を隠していて本当に大変だったらしい”といった話をして様子を見てみるのも手です。その反応次第で、配偶者や子供が相続放棄しても、負債を抱えてしまうことになる相続権が兄弟や甥・姪などに回っていくことなどを説明し、“みんなで大変な思いをすることになるから、もし借金があるなら、生前に整理しよう”と展開していく。とにかく大切なのは寄り添う姿勢でいることです」(同前)
※週刊ポスト2019年1月18・25日号