ちなみに、以前は遺族が年金事務所へ「年金受給権者死亡届」を提出しなければ受給停止とならなかったが、現在は変わっている。
「マイナンバーとひも付けされた住民基本台帳ネットワークシステムによって行政機関の間で情報が一括管理されるようになった。自治体に戸籍上の死亡届を提出した段階で、日本年金機構にも情報が伝達され、自動的に受給停止となる」(日本年金機構広報室)
“もらい忘れ”はあっても“もらい過ぎ”はないのだ。
一方、夫に先立たれた妻には、「遺族年金」が支給される。妻が専業主婦の場合、金額は「夫の厚生年金の報酬比例部分の4分の3」となり、亡夫の年金が月額15万円、そのうち報酬比例部分が10万円なら月額7万5000円が妻の国民年金に加えて生涯支給(再婚すれば停止)される。
ただし、遺族年金の請求には時効があり、死亡した日から「5年以内」に請求しなければ受給権が消滅してしまう。請求に必要な書類は亡夫と妻の年金手帳、亡夫の年金証書、夫婦の戸籍謄本、亡夫の住民票除票、死亡診断書等、請求者の預金通帳などだ。事情があって請求手続きが遅れた場合は救済措置もあるが、日本年金機構に「時効撤回の申し立て」をしなければならないなど、面倒な手続きが必要になる。
妻本人が手続きに行けない場合、委任状があれば第三者の代理人でも可能。有料になるが、社会保険労務士に申請の代行を依頼することも可能だ。
※週刊ポスト2019年1月18・25日号