これまで毎年、東南アジアやアメリカ、ヨーロッパなどに足を運び、1年分の英気を養っていたというNさん。年末年始に親戚づきあいをしなくていい開放感を感じている。
40代のTさんは、親との関係が良好なわけではないが、ある時期から実家に寄った際は、仲良く過ごすようにしているという。
「私は30代初めまで実家で両親と暮らしましたが、とにかく父親と折り合いが悪く、実家を出てからは本当に必要最低限しか顔を合わせていませんでした。しかしある時、そのことを友人に話したら、『いま、父親と年に1回しか会ってないってことは、もう一生で後10回ぐらいしか会わないってことだよ。今から突然仲良くしろって言われても難しいだろうけど、年に1回会った時ぐらい仲良く過ごせよ』と言われたんです。これにはショックを受けました。
確かに父はいつまで経っても私を子供扱いし、見当はずれなアドバイスや指図をしてきて、いつも不愉快でしたが、それも『後10回』と考えると、まったく腹が立たなくなりました。帰省しない同世代の友人に同じことを伝えたら、改心したのか毎年、盆と正月には帰省するようになった人もいます。逆に言えば、後10回しかないのが分かっているに、それでも会うとイライラするという人なら、完全に会うのをやめるというのも1つの方法ではないでしょうか」
世の中には色々な親子関係があるので一概には言えないが、仲違いしている親子の多くも、心のどこかで仲良くすることを望んでいるかもしれない。親の死を待ち望むという意味ではなく、「残り何回会うだろうか?」と考えてみることは決してムダではなさそうだが、いかが?