かつては親族や知人が総出で会葬者が200人を超える規模の葬式が主流だったが、1990年代半ばから姿を変えた。
「バブル崩壊後、不景気を背景に葬式の簡素化、個人化が進みました。100人未満の葬式が7割、火葬のみを行なう直葬も都市部では2割近くあります」(葬送ジャーナリストの碑文谷創氏)
そうした葬送スタイルの変化とともにトラブルも増加している。昨年、父親を亡くしたA氏(55)は「親しい者で見送りたい」と家族葬を開いた。だが葬儀に出席した叔母は周りを見渡し、涙ながらにA氏をなじった。
「何でお友達やお世話になった方を呼ばないの。こんなに寂しい葬儀では、兄さんが浮かばれないわ」
背景には人間関係の「世代間ギャップ」がある。
「親の人間関係を子世代は知らない。『親しい人』は死者と子では異なる。いざこざを防ぐには生前に親が子らに自分の望む葬式を伝えたうえで、“参列者リスト”を残しておくとよい」(碑文谷氏)
とりわけ葬儀費用はトラブルの種になる。葬儀費用の全国平均は196万円とされている(日本消費者協会の調査より)が、社会の格差が広がり「平均」が意味をなさなくなっている。
「高く出る同協会のデータでも、100万円以下21%、100万~150万円21%、150万~200万円22%、200万~300万円25%、300万円以上12%と分かれています。人によって葬式費用の相場が違います」(同前)
だからこそ、「もっと地味でいい」「いや、立派なものに」と親族間で意見が割れやすいのだ。