それでも現実には、家族の死を機に檀家を離れて墓を畳む「墓じまい」は急増しており、2007年度に約7万4000件だったのが、2017年度には約10万4500件に達した。一方でトラブルも増加している。
「目立つのは、『100万円包まないと離檀させない』『改葬許可書にハンコを押さない』など、寺が墓じまいに抵抗するパターンです。親族同士のもめ事に発展することも多く、『相談もなく勝手に墓を処分された』と親族間で裁判沙汰になったケースもあります」(鵜飼氏)
先祖代々の墓を受け継ぎたくても、家族が皆、故郷を離れて遠方で生活基盤を築いていることも多い。故郷にとどまっていても、高齢化で墓を管理できる家族がいなくなる事態も想定される。そうなると墓の改葬などの選択肢も話し合う必要が出てくる。
「墓じまいもせずに放ったらかしにされる墓も増えています。特に地方では、承継者が都心に住んでいる場合などに、管理料の支払いもせずに放っておかれることがある。そうして事実上の無縁墓となった場合は、寺がやむを得ず永代供養することになります」(鵜飼氏)
※週刊ポスト2019年1月18・25日号