国内の金融商品にマイナス金利の影響が及ぶなか、その利回りの高さから海外の「ハイイールド債(格付けが低く利回りの高い債券)」や「海外REIT(不動産投資信託)」を対象とする投資信託が注目を浴びている。
だが、ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏は、「外貨建て商品にはどうしても為替リスクがある。極力リスクを減らして利回りを確保したい場合は、国内ものに目を向けた方が無難です」とアドバイスする。
なかでも注目は、東証に上場するJ-REITだという。投資家から集めた資金で不動産を運用して得た賃料収入などを投資家に分配するREITは、 基本的に利益の9割超を分配すれば法人税が課税されないため、高い利回りが期待できる。消費増税凍結になれば不動産市場に追い風が吹くこともプラス要因 だ。50銘柄以上が上場し、平均利回りは約3.3%となっている。
「REITの収益源はオフィスビルや賃貸マンションなどの賃料であるため、オフィスビルの空室率が下がるなか、安定的で減配リスクも低い」(同前)
住宅ローンの金利が下がっていることから実物の不動産投資に注目する向きもあるが、実際には物件選びや長期的な収益分析が必要となるうえ、売りたい時にすぐ売れるものでもない。
「片手間でサラリーマン大家をやっても空室リスクなどがあり、必ずしも当初期待した利回りを得られるわけではない。そうである以上、株式市場で簡単 に売買できるREITで十分ではないでしょうか。少なくとも東京五輪に向けた不動産需要の高まりは期待できますし、収入源は賃料なので、不動産価格に左右 されず、今後のインフレに伴う賃料上昇も分配金の増加要因になります」(深野氏)
※週刊ポスト2016年4月8日号