キャリア

知能格差が経済格差に直結する時代 成功するのは「評判強者」か

 一部の専門職の収入が高騰する背景にあるのは、機械(AI)によるマッチングだ。いまでは買収した企業のCEOを期間限定で雇用することも珍しくなく、独立したプロフェッショナルのための仕事紹介サイトもたくさんある。

 こうしたマッチングはさまざまな職種で拡大しており、ウーバーでタクシー会社を仲介せずに運転手と顧客が出会えるようになったことで「組織に属さない短時間労働」が可能になった。アメリカでは、買い物代行からイヌの散歩まで、さまざまなアルバイト仕事を紹介するベンチャー企業も続々と誕生している。

経済格差は「知能の格差」

 このようにして労働市場は高収入と低収入の職種に二極化し、「バーベル経済」に変わっていく。中流層はじょじょに少なくなり、同じ国に住んでいても、「バーベル」のどちら側にいるかでまったくちがう人生を送るようになる。

 バーベル経済は進化した知識社会の姿であり、そこでは年功序列や終身雇用はあり得ないから、日本的なサラリーマンは絶滅していくほかはない。それ以前にビジネス環境の変化で会社の寿命がどんどん短くなっており、いまでは「会社の新陳代謝は20年」といわれている。定年まで勤め続けようとしても会社そのものがなくなってしまうのだ。

 知識社会というのは、その定義上、知能の高い者が優位になる社会のことだ。経済格差というのは、「知能の格差」の別の名前なのだ。

 フリーエージェント化が進むのは、会社のブランドで仕事相手を選択する必要がなくなったからでもある。

 一流企業に勤めているからといって優秀な人材ばかりとはかぎらず、無名の会社に素晴らしい才能が埋もれているかもしれない。だがこれまでは、誰が優秀で誰がそうでないかを外部から知る方法がなかった。次善の方策として、「会社」のブランドで相手を選別するしかなかったのだ。

 しかし、個人の評判をSNSなどで直接知ることができるようになればどうだろう。プログラマーなどはいまでもそうなっているが、「どの会社に所属しているか」ではなく、「個人としてどう評価されているか」の方がずっと重要になってくるはずだ。

 これは一部の専門職だけのことではない。いまではウーバーの運転手と乗客はお互いを評価しあい、民泊のエアビーアンドビーでは家主と宿泊者が評価しあっている。SNSが社会のインフラになるにつれ、誰もが自分の「評判」を持つようになり、よい評判をたくさん集めた者が社会的・経済的に成功していく。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。