“減らされた年金”を税務署から取り戻す
扶養親族等申告書の記入ミスで年金支給額が必要以上に減らされていないかを確認するには、「年金振込通知書」の所得税額を前年の振込通知書の税額と比べること。
本人と妻の収入が年金しかない場合、税額が跳ねあがっていたら記入ミスで必要以上の税金を天引きされている可能性が高い。
「扶養親族等申告書」の記入ミスや提出忘れによって年金の振込額が減額されたときは、2つの手続きが必要になる。元年金事務所副所長の社会保険労務士・木村昇氏の指摘だ。
「そのケースは年金の支給額そのものが減らされたのではなく、配偶者控除などの計算が変わって年金から税金を取られすぎているわけです。だから税務署で所得税の修正申告を行なうことで納めすぎた税金の還付を受けることができます」
具体的には税務署に「扶養控除等(異動)申告書」を提出しなければならない。注意が必要なのは、記載する内容は「扶養親族等申告書」とほぼ同じでわかりにくいことだ。税務署の窓口で相談し、配偶者の所得を収入と間違えて記入するといったミスを重ねないようにしたい。
また、税務署だけではなく、年金事務所にも正確な「扶養親族等申告書」を提出し直す必要がある。そうすれば納め過ぎた税金は還付され、次の年金支給日から税金を過剰に天引きされることはなくなる。
「この問題は年金受給者が最初から税務署で確定申告すれば起こらない。年金機構は受給者に、『控除を受ける場合は扶養親族等申告書を提出するか、あるいは税務署で確定申告してください』と案内すればいい。それなのに縦割りで受給者にわかりにくい書式の申告書を出してくれとしか案内しないから、未提出や記入ミスで税金を取られすぎるケースが増えてしまった」(木村氏)
※週刊ポスト2019年2月1日号