ある程度の選別は必要か
現場の状況を知る関係者は、誰でも入部を認めないやり方に一定の理解を示す。教育機関への豊富な取材経験を誇るフリーライターはこう語る。
「高校でも大学でも、強豪校ともなれば、プロと変わらないようなレベルの選手が集まっています。そういったチームの選手は、その競技に人生を賭けていて、わざわざ故郷を遠く離れてやって来る子も珍しくありません。そこにいきなり“訳の分からない”子が入部してきてケガでもされたら、部や学校としてはたまりません。ある程度のレベルで選手を区切るのは当然だという風潮があります」(フリーライター)
前出のSさんは、現在法曹関係の仕事に就いている。「本当にやりたいのであれば、方法はあったはず。それをしなかった自分が悪い」と言うものの、「仮にも教育機関である以上、門前払いは納得がいかない」とも語っている。箱根駅伝の中央大学の選手や高校サッカーの桐光学園の選手のように入部が許されれば良いが、その陰では多くの才能の芽が摘まれている可能性もあるかもしれない。