アメリカからしてみれば、中国からの輸入に関税をかけても、自国で生産するか、中国の不当廉売によって被害を受けている他国から買えば良いだけの話です。しかし、中国がアメリカに対して関税を課していた代表的なものは豚肉と大豆。これらは自国では供給不足となっており、中国がアメリカに対して関税をかけることでこれらの食料が中国国内では値上がりしてしまいます。
つまり、アメリカ側からすれば、世界的に供給過剰で中国からの輸入に頼らなくても良い品目に関税をかけていたわけですが、反対に中国は自国では供給不足で世界的にも供給過剰ではないアメリカの食料品に関税をかけていたことになります。
一人っ子政策の廃止や国内の働き手の高齢化により、中国の食料自給率が下がっていくのは目に見えています。食料問題は、中国にとって最大のリスクとされているので、このままお互いの制裁が続けば、首が締まるのは中国側だったのです。
そうした点からも、中国が譲歩せざるを得なかったということでしょう。ともあれ、このまま米中の貿易摩擦が緩和されれば、市場でもアメリカ経済に対する不安が解消されることになるでしょう。また、昨年末から1か月以上も続いていたアメリカ政府機関の一部閉鎖ですが、一時的に解除されることも発表されました。このニュースもアメリカ経済にとって追い風になります。
さて、ここまでファンダメンタルの観点からお話しさせてもらいましたが、私はテクニカル分析をメインにトレードをしていますので、テクニカルの観点からも補足させてもらいます。
まず月足レベルでの大局を見ると、くりっく株やドル円相場に置けるテクニカル、一目均衡表や移動平均線は依然として“買い”の状態であり、大幅な下落トレンドに転じる状況ではありません。
直近の動きとして、ドル円は110~109円のレンジ、日経平均株価は21000~20400円台でのレンジ相場が続いており、他の銘柄も概ね似たような推移となっています。