スマホの台頭の裏で影が薄くなりつつあった電子辞書がいま、売り上げを伸ばしている。一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)によれば、2018年上半期の電子辞書の国内向け出荷金額は142億9400万円で、前年同月比108.6%と好調だ。一体なぜなのか。
「一つは使用者の低年齢化が進み、新たなユーザー層の開拓が進んでいること」と量販店関係者は話す。背景にあるのは、2020年に施行される新学習指導要領だという。
「新学習指導要綱への移行期間として、すでに小学校では外国語に親しむための活動が始まっています。受験生や社会人向けといったイメージがあった電子辞書ですが、メーカーも商機とみてここ数年、小学生向けモデルに力を入れています。電子辞書の使用を推奨している学習塾もあり、プレゼント用途はもちろん、親子で一緒に見に来られるケースも増えました」
親世代では、まだまだ紙の辞書を使っていた人が多く、電子辞書を使用しても白黒というイメージがあるようで、売り場に来てその進化に驚く声が多いという。
「いまやカラー高精細液晶は当たり前で、文字や写真が見やすくなっています。小学生低学年向けでは、ローマ字入力が苦手のお子さんにも操作が容易なカシオの『かな入力モデル』が人気。小学生向けといっても、機能は侮れません。文字にマーカーを引けたり、辞書に付箋を貼ったり、画面に手書き文字を書き込むこともできます。もはや使用感は紙に近い。感動の声をあげる親御さんも少なくありません」(同前)